2017年4月16日日曜日

主の御復活おめでとうございます!ルカ小笠原晋也


主の御復活おめでとうございます!

2017416日,復活の主日,LGBTCJ 共同代表,ルカ小笠原晋也は,皆様に心から主の御復活をお喜び申し上げます.

2013331日,就任直後の復活祭の Urbi et orbi の際に,教皇 Francesco はこうおっしゃいました:

キリストは復活なさいました!この知らせがあらゆる住まいに,あらゆる家族に届きますように 特に,より多くの苦しみがあるところに (...). とりわけ,すべての心にそれが届きますように.
なぜなら,すべての心にこの善き知らせが種撒かれるよう神は欲しているからです:イェスは復活しました.それは,あなたにとって希望です.あなたは,もはや罪と悪の支配のもとにはいません.愛が勝ちました!慈しみが勝ちました!慈しみは常に勝ちます! (...)
「イェスは復活した」とは何を意味するのでしょうか?このことです:神の愛は,悪よりも強く,死よりも強い.神の愛は,わたしたちの生を変えることができる.わたしたちの心のなかにある砂漠地帯に花を咲かせることができる.神の愛は,そうすることができるのです! (...)
キリストの復活の恵みを受けましょう!神の慈しみによって新たなものにしていただきましょう!イェスによって愛していただきましょう!彼の愛の力によってわたしたちの生を変えていただきましょう! 
そして,神の慈しみの道具になりましょう.神の慈しみの水路になりましょう その水路によって,神は,大地を潤し,創造全体を保持し,正義と平和の花を咲かせることができるのです. 
そして,復活したイェスに 死を命へ変える方に お願いしましょう:憎しみを愛へ変えてください,復讐を赦しへ変えてください,戦争を平和へ変えてください.

教皇がおっしゃるとおりに,主の復活の喜ばしい知らせが,すべての方に,とりわけ,神の愛に飢え渇く sexual minority の人々すべてに,届きますように!

つい先ごろ発売された岩波書店の月刊誌『世界』5月号で,「LGBT ブームの光と影」と題された特集が組まれています.日本において,自身が LGBTIQ+ である人にもそうでない人にも必読の有意義なテクストが掲載されています.それらを読んで改めて思ったのは,神の愛の本質的な重要性であり,そして,日本社会におけるその決定的な欠如です.

権利や人権と呼ばれるものは,神の愛し子である人間存在の尊厳にもとづきます.しかし,神の愛が識られていない日本社会においては,「権利」や「人権」は,所詮,裁判官もがしばしばないがしろにする空疎な法学用語にすぎません.

真摯に愛し合うカップルは,異性カップルであれ同性カップルであれ,慈しみ深い神の愛の徴であり,それとして祝福されます.しかし,家父長主義的な日本社会では,個人どうしの愛よりは戸籍制度が優先されます.

神の愛を識らないがゆえに隣人愛をも識らない日本人たちは,互いに異なる個人をその多様性において尊重することができず,「皆と同じ」ではない者の存在は許しがたいことだと感じており,差別されている者の苦悩に非常に鈍感です.

そのような日本社会のなかで,わたしたちキリスト者は,砂漠を潤す神の愛の水路でありたいと思います.

しかるに,もしカトリック教会が,聖書の文言や伝統的な慣習を盾に取って,性的少数者に何らかの制限や強制を加えたままでいるとすれば,それは,神の愛の働きを妨げることです.

そも,神の愛は,誰をも排除せず,而して,あらゆる者を包容します.

如何にカトリック教会が性的少数者を包容し得,そして,如何に彼らがそのなかで活躍して行き得るかは,女性の立場の問題とともに,21世紀のわたしたちの教会にとって決定的な試金石となるでしょう.

律法の文字にとらわれた死せる教会となるか,それとも,神の愛と息吹によって生きる教会となるか,それがかかわっています.

主の御復活の喜びのうちに,


ルカ小笠原晋也