2015年8月21日金曜日

一部のカトリック信徒たちに共有されている根深い LGBT 差別意識について

「カトリック」と名のる FB グループがあります.確認しようがありませんが,そう名のるからには,参加者は大部分,カトリック信徒か,または,信仰としてのカトリックに関心を有する人々であるはずです.わたし(小笠原晋也)も一時期そこに参加していました.

参加してすぐさま驚かされたことに,参加者のなかに LGBT に関して無理解と偏見に基づき非常に差別的ないし侮辱的な発言をする人々が少なくありませんでした.

そのような発言に対して,LGBT に関する正しい知識を説明したり,偏見を解こうとしたり,始めのうちはいろいろ努力していましたが,同様の発言は相異なる人々により次から次に繰り返されて行きました.

ついに,そのような FB グループの場でいくら努力しても無駄だと思うに至り,わたしはそこから退会しました.

そして,その代わりに,本当にカトリック教会が LGBT の人々を「敬意と共感と気遣いを以て受け容れる」(『カトリック教会のカテキズム』 2358項)ことができるよう,この LGBT カトリック・ジャパンを立ち上げることになりました.

わたしが退会した後もがまん強く FB グループ「カトリック」に残り,LGBT を擁護する努力を続ける人もいました.そのような人のひとりが,昨日,8月20日,この写真をグループに投稿しました.



「同性婚が嫌いなら,ノンケの連中を責めるんだな.同性愛の赤ん坊を生み続けているのはやつらなんだから.」

この看板がどこに出されていたのかは不明ですが,写真は The Guardian 紙からわたしが引用したものです.同性婚のカップルは自分たちだけで子どもをつくることはできませんから,同性愛的に規定された性本能を持つ赤ちゃんの大部分は,異性婚のカップルから生まれます.この看板で言われていることは事実です.その事実の指摘のしかたは,確かに皮肉たっぷりですが.

すると,投稿に対してこのような脅しのコメントが付されました:「生まれつき同性愛者である人はいません.あなたがカトリック信徒で,永遠の命が欲しいなら,LGBT を擁護するのを止めなさい.さもないと,地獄へ直行することになりますよ.」

そして,投稿から数時間後に,投稿者は FB グループ「カトリック」から何の説明も無く除名されました.

驚くべき事態です!カトリック信徒とあろう者が人を呪うとは!

聖パウロは,「あなたたちを迫害する者らを祝福しなさい;祝福するのであって,呪ってはなりません」(Rm 12,14) とすら言っているのに,我々の兄弟姉妹である LGBT の人々に対する不当な差別と侮辱をやめさせようとしている者を呪うのは,まったく非カトリック的です.実際,歴史上,誰それは地獄に落ちたと宣言した教皇はひとりもいません.

また,LGBT の大多数において,性本能の規定性は先天的です.実際,思春期の始まりよりはるか以前に,或る人の性本能がどう規定されているかは,その人の思考や感性において明らかになってきます.

LGBT を差別する人々は,そのような LGBT に関する基本的な事実をすら知ろうともせず,間違った思い込みに執着しています.

「カテキズム」 2358項でもこう述べられています:「同性愛者たちは,自分が同性愛者であるという事情をみづから選んだわけではない」.性本能を有するものとして人間を創造なさったのは,神です.性本能は,神の被造物としての人間の神秘に属することです.

LGBT を差別する人々は,イェスを十字架で処刑した者たちと同じく,「自分たちが何をしているのかを知らない」(Lc 23,34) のです.自分たちと同様に神の似姿として創造された兄弟姉妹たちを祝福することができないということは,神による創造を否定することであり,人類に対する神の恵みを拒否することにほかなりません.

ともあれ,呪いを発した人物がみづから地獄に落ちることのないよう,祈りましょう.