2016年10月29日土曜日

晴佐久昌英神父様の2016年10月23日の LGBT 特別ミサにおける説教

晴佐久昌英神父様の20161023日の LGBT 特別ミサにおける説教


(前日,1022日は,晴佐久神父様の59歳の誕生日でした).

(...)[わたしが]小学校1年になったときには,神父が我が家にやってきて,「もう1年生になったんだから侍者をやってもらう.ラテン語を覚えてください」.そうして,[神父が]我が家に通ってきては,[わたしは]ラテン語をたたき込まれた.「« dominus vobiscum » と言ったら,« et cum spiritu tuo » と答えるんですよ」.そう教わって,小学校1年生,ただただラテン語を覚えた.

あれはほとんど虐待というか洗脳というか... しかし,それは何と甘美な洗脳であり,何と聖なる虐待だったか.わたしは,そのおかげでカトリックの信仰をたたき込まれ,やがて神父にもなり,ミサに仕えて一生をささげたいと,そう願って今日も生きております.(...)

わたし,昨日59歳になりました.(拍手)ありがとうございます.

59年.おやじが,ぼくが神学校に入る前の年,50歳で死んだとき,自分も50歳まで生きられるだろうかと思った.

「神様,もし生きることができるとしたら,後は,父さんができなかった分まで代わりにぼくが働く」と,そう神様に約束した.おやじにもそう言った.もう死ぬ数週間前,「ぼくは来年神学校に入るから,父さんも頑張って」.

おやじはぼろぼろ泣いて,うれし涙かと思ったら,悔しいって泣いた.もうそれはわたし,すぐにわかった.息子が神父になった姿を自分はもう見ることができない,その悔しさですね.もう彼は死ぬことを知っておりました.

だから,わたしは言った.「自分が神父になったら父さんのおかげだ,父さんの分まで頑張る,約束する」と,そう申し上げた.その約束は決して揺るがすことはできない.(...)

わたしは,もう小さなころから注意欠陥障害を抱えておりましたし,おちついていることができない.いつも思ったことを好きなようにやってしまう.自制心がない.うろちょろうろちょろ遊び歩いていて,いつも叱られていた.(...)

わたしは,[或る教会付属の]聖ペトロ幼稚園の出身です.(...) 父はわたしにペトロという霊名をつけた.

教室にいない子供で,いつも先生に心配をかけておりましたが,わたしは幼稚園,楽園のように覚えております,楽しかった.先生たちが忍耐し,みんなが受け入れてくれて,それでわたしは自尊心を失うことなく,こんなふうにおっちょこちょいで失敗ばかりで,どうしようもない自分だということを知りながらも,「それでもいいんだ」という自分の信仰の原点は,そこで学びました.

みんな,わたしを受け入れてくれた.教会の人たち,特に両親.ミサの途中もおちつかないで,それでも精いっぱいじっとして,しんとした気持ちでお祈りしておりましたけれども.

悪餓鬼というんですか 急に思い出しました 友達と,いただいた御聖体を口の中でどれだけ溶かさずに持っていられるか,そういう競争をした.口でいただいたでしょう,舌の先に載せられたのを口の中で浮かしたままずーっと保って,ミサが終わった後,聖堂の外でせーのでみんなでべーっと出して,誰のが一番丸く残っているか.これも叱られたね,何をやっているんだ,と.

でも,楽しいこと,おもしろいこと,いっぱいあった教会.悪餓鬼でしたし,おっちょこちょいでしたし,でも,みんな受け入れてくれた.

わたしにとって教会は,どんな自分でも受け入れてもらえるという天国でありました.両親がそのような両親でしたし,教会がそのような教会でしたし.

神父になって,もう 30 年になるんですね.わたしはひたすら,「どんなあなたでも大丈夫だ,神様はあなたを愛している,神様はあなたに何も求めていない,あなたがいるだけでうれしいんだ,なぜなら神はあなたを望んで生んだからだ」と,そう福音を語り続けてまいりました.どこに行っても福音を語ってきた.

今週だって講演会,四つあったんですよ.火曜日,四谷,水曜日,竹橋,福岡市,金曜日だ.昨日土曜日は鎌倉.それぞれ切り口は違えど,どこに行ってもわたしは福音を語り続けてきた.

あなたを望んで生んだのは神だ,あなたの原点は神の内にある,あなたがどういうあなたであろうとも,何をしていようともいなくとも,あなたがどこにいようとも,いつになっても,あなたの原点は神の内にある.何も恐れることはない,あなた自身が神の喜びであり,神の親心の内に永遠なる命をいただいていて,やがてほんとうのあなたとして神の内に生まれていくんだ.ただただその神様にのみ信頼して,「こんなわたしを愛してくれている神様,ほんとうにありがとうございます,すべてをあなたに委ねます」と,そう祈って生きていく.何とすばらしい人生.

わたしはその福音をどこに行っても語り続けてまいりましたが,その原点は[子供時代の教会に]あります.カトリック教会.誰をも受け入れて,みんなが,「わたしがここにいることはすばらしい」と言える,そんなキリストの教会が,確かにありました.わたしはそこで育てられました.

父に約束したとおり,父がやりたかったこと,「我が家が教会だ」と言い続けて,みんなを集め続けて,みんなに純粋に大盤振る舞いをし続けた父.ただただもてなし続けて50歳で死んでいった父の後を継ぐのはわたしだと,そんな思いで今も教会のことをしております.

昨日,鎌倉でやった講演会は,精神障碍者のグループの講演会で,福音を語りました.

ひとりの方が,そのことがすごくうれしかったらしく,お昼のお弁当の後でわたしのところに来て,「自分は統合失調で長く苦しんできたけれども,その苦しみはほんとうに大変でしたけれども,今日この話が聞けて良かった」,そう言ってくれた.わたしは福音を語って良かったなとすごくうれしく思いました.その後でまた講話をして,午後帰る前のときに,彼は立って,みんなに証しをしました.「自分はほんとうに長い間苦しんできたけれども,病気になったおかげで信仰に出会い,洗礼を受けることができた,病気になったおかげでこの会にも加わり,今日もこの福音を聞くことができた,病気になったおかげで晴佐久神父さんに出会って,今日はほんとうに自分がどれほど幸せかということを感じた,わたしは病気になってほんとうに良かったと思います」と,そうおっしゃった.

わたしは,そのような言葉を聞けただけで,昨日ちょうど誕生日でありましたが,最高のプレゼントをもらった気持ちになりました.

永遠なる神様が,全能の神様が,すべての我が子を天地創造の始めから,どうしてもいてほしいと望んで生み,愛して育てて,今日もここに集め,こうしてわたしたちをひとつにしてくださっていること,この事実を前に,もう語る言葉もないとわたしは感動いたします.

59年前の1022日,わたしもこの世にオギャーと生まれてまいりました.それはわたしの原点です.それは,神の望みによるという原点です.

神の望みにわたしは,何ひとつ付け加えることも,差し引くこともしたくない.このわたしが神の喜びであるという,その確信を持って,これからも福音を語り続けてまいりましょう.

目を天に上げようともせず,胸を打ちながら祈ったひとりの徴税人,その心はどれほど平和か.「神様がこのわたしを愛している,この罪人を赦してくださっている,神様がこのわたしをつくり,神様が今ここに,このわたしを生かしてくださっている.天の父よ,あなたにすべてを委ねます,どうかこの弱いわたしをあわれんでください,あなたのあわれみの中でわたしは生きてまいります」.そう祈る徴税人の心は平和です,恐れがない.信頼と希望.聖なるミサです.

わたしたちひとりひとり,自分の胸に手を当てて,「主よ,あわれみたまえ」と祈ります.でも,そのとき,神様はほんとうに喜ばれる.

「義とされて家に帰ったのはこの人だ」とイェス様はおっしゃいました.義とされる,神様の思いにかなって,神様の喜びとなり,「ああ,ほんとうにこの子を生んで良かった」と神様が思う瞬間.

「天の父よ,こんなわたしをあわれんでください,わたしはあなたの子供です,あなたにすべてを委ねます」と,そう祈るとき,神様は喜ばれる.

聖なるミサにおいてわたしたちが最も為すべきことは,今ここで神がこのわたしを喜びとしてくださっていると信じて,安らぐことです.

皆さんもいろいろな思いを抱えておられるでしょうが,病気になって良かった,障害を抱えて良かった,罪人で良かった,こんなわたしで良かった,あんな失敗をして良かった,みんなから責められてほんとうに良かった  なぜなら,あなたのみもとで「主よ,あわれみたまえ」と祈れるから.「天の父よ,このわたしを  感謝します」と,そう祈ります.

2016年10月19日水曜日

SpiritDay – 性的少数者である子どもたちに対するいじめをやめさせるために

思春期は誰にとっても多かれ少なかれ人生の苦悩の時期ですが,特に性的少数者にとっては,思春期に sexuality の問題がよりいっそう深刻になります.Transgender の人々は,思春期よりずっと前から,言葉を話し始める満 1, 2 歳の幼児期から,自身の生物学的性別とは異なる性別を生きていることによる違和感に悩まされますが,やはり二次性徴が身体に現れてくる思春期に違和感はさらに強まります.

そして,性的少数者のうち少なからぬ人々が,学校などにおける偏見といじめに苦しめられます.その問題は,今年の 1月に NHK の或る番組でも取り上げられました.そこで紹介されている2014年に行われた或る調査の結果は次のとおりです:




深刻に受けとめるべき調査結果です.

全体主義的な傾向の強い日本社会は特に,何らかの意味で少数者である人々に対してあらゆる状況で排除的であり,性的少数者にとっても非常に生きづらい社会です.

USA では,1970年代以来,さまざまな LGBT 人権擁護運動が展開されています.

特に,1985年に設立された GLAAD (Gay and Lesbian Alliance Agaist Defamation の頭文字であったが,今は団体の正式名称)という NPO は,2010年以来,毎年10月の第三木曜日を SpiritDay と名づけて,性的少数者である子どもたちに対する学校などにおけるいじめをやめさせるためのキャンペーンを行っています.

今年は,10月20日がその SpiritDay です.日本でも是非広げて行きたい運動です.Spirit Day という表現は,そのままでは日本語に訳しにくいので,何か良い名称を考える必要があるでしょうが.

現在,日本の政治は右傾化しつつあると言われていますが,日本社会の全体主義的な体質は,戦前は言うに及ばず,1945年以降も一貫しており,何ら改善されていません.そのような日本人の心性を変えて行くための第一歩は,何らかの意味で少数者である人々すべての存在の尊厳を尊重することです.

LGBT カトリック・ジャパンとしては,特に,カトリック信仰を標榜する初等中等教育の学校における性的少数者いじめの問題が解消されるよう,積極的に活動して行きたいと思います.

神の愛において

ルカ小笠原晋也


付録:教皇 Francesco が2016年4月に発表した使徒的勧告 Amoris laetitia(愛の喜び)の第250段落: 

主イェスは,限り無き愛において,各人のために – 例外無く,あらゆるひとりひとりのために – 御自身をおささげになった.そのような主イェスの態度を,教会は自身のものとする.シノドスに参加した神父たちとともに,わたしは,同性愛の性向を顕わす者を内に擁する経験 – 親にとっても子にとっても容易ならざる経験 – を生きている家族の状況を考慮した.それゆえ,我々は,まず,就中,このことを改めて断言したい:あらゆる人間は,その性的性向にかかわりなく,その尊厳において尊重されねばならず,敬意を以て – 「あらゆる不当な差別の刻印」(カテキズム 2358 段落)を避ける配慮を以て,および,特に,あらゆる形の攻撃や暴力を避ける配慮を以て – 迎え入れられねばならない.重要なのは,逆に,同性愛の性向を顕わす家族メンバーが,その人生において神の意志を了解し,かつ十全に実現し得るために必要な手助けを受益し得るよう,教会が敬意を以てその家族に寄り添うことが確実にできるようにすることである.

2016年10月13日木曜日

日本会議の政治家に LGBT 差別禁止や同性婚の法制化を期待しても無駄です

朝日新聞 2016年10月13日付朝刊の「わたしの視点」欄に,EU 日本政府代表部公使参事官,小沼士郎氏は,こう書いています:


東京都から LGBT 差別解消を
東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを夫婦と同じような関係の「パートナー」と認める制度を始めて,間もなく一年になる.追随する自治体も少しだが増え,国政レベルでは性的少数者 (LGBT) への差別解消を目指す超党派の議員連盟が設立された.LGBT が直面する課題に日本が欧米のように本格的に取り組むチャンスが到来した.
米大統領選挙の民主党候補,Hillary Clinton 氏が国務長官時代に LGBT の権利を守る国連初の決議採択を主導し,LGBT は世界人権宣言採択から60年余りを経ても十分な取り組みがなされていない分野だと指摘し,決意を明らかにしたのは,2011年だった.
私は,医師免許を持つ外交官として国連エボラ緊急対応ミッション (UNMEER) に派遣されるなど,医療分野の国際協力に携わってきた.アフリカでは,英国の植民地統治の影響もあり,同性愛は自然に反するとして刑罰を科す法律(ソドミー法)がある国が少なくない.
国連によると,サハラ砂漠以南のアフリカでは AIDS で年間約80万人が死亡し,新規 HIV 感染者の約 5 % が同性愛者だ.しかし,処罰対象の同性愛者に対しては偏見が根強く,政府の予防策は不十分だ.だが,ガーナのマハマ大統領は,同性愛を差別する社会を変えると国際会議で宣言した.2年前に傍聴した私は,感銘を受けた.
米国の多くの州の法律も,LGBT の権利を阻害する価値観に基づく.しかし昨年,米連邦最高裁は,同性婚を認めない各州の法律は憲法に合致しないとの判決を出した.
日本国憲法24条も「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とし,同性婚を認めない.人は等しく生まれ,平等な権利を持ち,これを保障するのが憲法だ.多様性を認めあう社会をつくるため,憲法24条の改正もいずれ国民的議論の対象とすべきだろう.だが,まずは自治体レベルの動きを加速し,LGBT への理解を深め,一歩一歩解決することから始めたらどうだろうか. 
そんななか,小池百合子氏が女性初の東京都知事に就いた.2020年に東京で行われる五輪大会は,性的指向を含め多様性を認め合うことを基本理念に掲げる.理念をかけ声に終わらせないよう,小池氏は,同性パートナーが直面する差別の解消に真正面から取り組もうとする渋谷区や世田谷区の試みを,東京都全域に広げることを都民に提案してはどうだろうか. 
日本では,性に関わることを公に語るのは気恥ずかしいという文化を背景に,多くの政治家が沈黙してきた.清新なリーダーの小池氏は,東京から日本を変えてほしい.

何と!「小池百合子氏は清新なリーダー」! 御冗談を!

小池百合子氏にせよ,稲田朋美氏にせよ,家父長主義を是とする日本会議のメンバーに性的少数者の人権の問題について何かを期待するのは,無いものねだりにすぎません.

そもそも,自民党は「人権」も「主権在民」もないがしろにしようとしています.性的少数者のみならず,民族的,宗教的,政治的なあらゆる少数者と,心身のハンディキャップを有する人々を,社会の辺縁へ追いやって,全体主義的国家体制を復活させようとしています.

政治家が人気取りのために見せるうわべにごまかされてはなりません.日本会議と自民党の真意は明確に anti-LGBT です.

日本社会の均質性を打ち壊し,多様性を実現するための第一歩は,少数者がみづから声を上げることに存します.

また,憲法24条に関しては,憲法は国家権力を制限するものであって,国民の権利を制限するものではありません.したがって,憲法24条にもとづいて同性婚を拒むことはできません.同性婚法制化のために改憲の必要性を持ち出す議論は,誤っています.だまされてはなりません.

ルカ小笠原晋也

2016年10月12日水曜日

10月11日は,カミングアウトの日

1988年以来,毎年10月11日は,カミングアウトの日 (National Coming Out Day) です.

日本社会は,基本的に,異質なものに対して自身を閉ざし,自身の内が均質であることを要請します.そして,その際に基準となるのは,男性中心の heteronormative [異性愛を社会規範とする] な価値観です.

何らかの意味で少数者である人々(性的少数者のみならず,障碍者,宗教的少数者,政治的少数者,異邦人,等々)にとって日本社会が生きづらいところであるのは,そのためです.

少数者だけではありません.男性より多数者であるはずの女性もが,女性であるというだけの理由で,差別され,軽んじられ,嫌がらせや性的暴力に絶えずさらされています.

そのようなことすべての原因は,上に述べたように,異性愛を規範とする男性優位の日本社会の構造です.多様性の実現を妨げているのは,それです.

あなたが何らかの意味で少数者であること,女性であることは,確かに,あなたの個人的な事実です.しかし,個人的なことは政治的なことです (the personal is political). 

なぜなら,人間は共同体のなかで生きているからです.共同体を構成するのは,ひとりひとりの個人です. ひとりをないがしろにして平気でいる共同体は,健全ではありません.そのような社会は,1945年以前の日本やドイツと同様に,全体主義に病んでいます.

個人的なことは政治的なことです.あなたがひとりで悩み,苦しんでいるなら,その苦悩を共同体構成員は皆,分かち合うべきです.

カミングアウトは,そのための第一歩です.

勿論,カミングアウトは強制されるものではありません.社会のなかでひとりひとりが置かれている状況は異なりますし,ひとりひとりの考え方も,気持ちも異なります.

しかし,USA の雑誌 Advocate の記事で「カムアウトする13の理由」が論ぜられています.紹介しましょう.

13 reasons why you must come out of the closet. 
LGBTIQ+ の兄弟姉妹たちへ.カムアウトしなきゃならない 13 の理由.



Browse these 13 reasons why you need to kick down the closet door and take your first fabulous step into a new world.
クロゼットのドアを蹴破って,新しい世界へすばらしい第一歩を踏み出そう.そうすべき 13 の理由をブラウズしよう.




1. Keeping something so important a secret is bad for you.
こんなに重要なことを秘密にしておくのは,あなたのためにならない.



2. Coming out empowers those who can’t.
あなたがカムアウトすれば,そうすることができない人々は力づけられる.




3. In a world filled with antigay leaders pushing for antigay policies, coming out is a political act.
LGBT を差別する政策を推進する反 LGBT 政治指導者たちに満ちた世界で,カミングアウトは政治的行動だ.




4. Dating gets way easier.
デートしやすくなる.


5. Hooking up gets way easier too.
出会いの機会もふえる.





Harvey Milk (1930 - 1978)


6. Coming out respects the hard work done by LGBT activists who came before you.
カミングアウトは,LGBT のために活動した先人の苦労に敬意を払うことだ.



7. Coming out gives you the most honest picture of life.
カミングアウトすれば,本当の人生が見えてくる.




8. Coming out may be the hardest thing you ever do in your life. It’s important to measure yourself at least once.
カミングアウトは人生のなかで最も困難なことかもしれないけれど,少なくとも一度はそういうことに挑戦するのは重要だ.




9. Coming out is the first step to appreciating your cultural inheritance.
カミングアウトは,あなたの文化的な相続財産を味わう第一歩だ.




10. Coming out will reveal your allies.
カムアウトすれば,誰が味方になってくれるかわかる.




11. When you come out, fellow LGBTQ people become less terrifying.
カムアウトすれば,ほかの LGBTQ の人々のことが怖くなくなる.



12. Coming out means you get to have “your story” – and some of them are hilarious.
カムアウトすれば,あなたの人生の物語を創ることができる.楽しい物語もあるはずだ.




13. Finally, if you cannot come out, we need you to stay strong.
最後に,カムアウトできないとしても,くじけないでいてほしい.


記事の紹介は,以上です.

政治に無関心にならず,立ち上がって,均質性を押しつけてくる日本社会の排他的構造を解体しましょう!多様性が実現されるように!少数者と女性が真に人間的尊厳を以て生きることができるように!

神の愛のうちに

ルカ小笠原晋也

2016年10月5日水曜日

LGBT カトリック ジャパン の日本語正式名称を「LGBT カトリック信者の集い」とします

昨日,2016年10月04日,LGBT カトリック ジャパン の共同代表,ルカ小笠原晋也とペトロ宮野亨は,小宇佐敬二神父様にお会いして,発足後一年間の活動をふりかえり,今後の活動について相談しました.

我々が LGBT カトリック ジャパン の活動を始めたきっかけは,Facebook に開設されている幾つかのキリスト教関係グループのなかの憎悪言説に驚かされたことです.カトリックのグループも,プロテスタントのグループも,双方が混ざっているグループも種々ありますが,おしなべてそれらのグループでは LGBT に対する誤解と偏見と憎悪に満ちた投稿が常に頻繁に見うけられました.

我々は,カトリック信徒として,普遍的な神の愛にもとづき,誤解や偏見に対しては,現在の医学的,心理学的常識による説明をし,憎悪に対してはその根拠の非正当性を指摘しました.しかし,そのようなことを幾度くりかえしても,LGBT に対する憎悪言説はやみませんでした.

そこで,Facebook のような限られた世界で LGBT 擁護を試み続けても無駄であると判断し,我々は,カトリック信徒として,我々に可能な限りでもっと現実的に有効な社会活動を LGBTIQ+ の人々のために始めることにしました.それが LGBT カトリック ジャパン です.

昨年夏の発足にあたり,ルカ小笠原晋也が信徒として所属するカトリック本郷教会でときどき主日の御ミサを立ててくださっていた「東京カリタスの家」常任理事,小宇佐敬二神父様に相談にのっていただきました.本郷教会は,信徒会館内の部屋を「東京カリタスの家」の放課後デイサービス「カリタス翼」に提供しています.

また,東京大司教区の補佐司教である幸田和生司教様にも我々の活動の趣旨を御説明し,賛同していただきました.

まずは Facebook と Blog での言論活動から始めました.

5月 8日には Tokyo Rainbow Pride 2016 に参加し,パレードに加わり,出店も出しました.その際,既に長年 LGBT のためにプロテスタント司牧活動をしている三・一教会平良愛香牧師さんと新宿コミュニティ教会中村吉基牧師さんを始め,幾人もの LGBTIQ+ の人々と出会うことができました.

7月からは,ペトロ宮野亨がカトリック教会内に持つ広い人間関係をたどって出会うことのできた LGBT friendly な神父様たち,小教区教会,修道院などの御協力のもとに,都内で LGBT 特別ミサが始められました.仲間内の秘密会合ではなく,社会に開かれた LGBT カトリック司牧の可能性の端緒として,日本のキリスト教の歴史のなかで初めての試みです.今後も月に一回,継続して行く予定です.

9月には,LGBT とカトリック教義に関してこの一年間に学んだことのまとめとして,「LGBT とカトリック教義」を発表しました.世界のカトリック教会の一部でいまだに続く LGBT 差別の動きをカトリック信者として批判する際に参考にしていただけると思います.

昨日,小宇佐敬二神父様は,我々のお願いに応じて,LGBT カトリック ジャパン の指導司祭となることをお引き受けくださいました.2017年01月からは,原則的に毎月第三日曜日,14時から,小宇佐神父様の司式により LGBT 特別ミサを立てていただくことになりました.

また,小宇佐神父様は,LGBT カトリック ジャパン の日本語正式名称を「LGBT カトリック信者の集い」とするよう助言してくださいました.

したがって,「LGBT カトリック ジャパン」は通称としてのみ用い続けることにします.また,英語の名称は LGBT Catholic Japan, 略称は LGBTCJ とします.

また,小宇佐神父様は,幾つかの自助グループにかかわった御経験にもとづき,ミサ後の分かち合いの集いのやり方をもっと工夫するよう助言してくださいました.今後,参加者の方々と相談しながら考えて行きたいと思います.

歴史的にキリスト教は,聖書の文言の一部にもとづき,同性愛を断罪してきました.しかし,「LGBT とカトリック教義」で指摘したように,改めて仔細に検討するなら,そのような聖書解釈は無根拠であることがわかります.

世界では,法のもとでの平等の理念にもとづき,同性婚を法制化する国々がふえて行きつつあります.

カトリック教会でも,その頂点である教皇 Francesco は,全包容的な神の愛にもとづき,LGBT 司牧に積極的な姿勢を打ち出しています.つい先日,10月02日にも,記者会見のなかで教皇は,「カトリック教会は LGBT の人々に寄り添うべきです.イェス様なら今,当然,そうしているでしょう」と述べました.

日本でも,2020年に東京オリンピックを控えて,LGBT 差別を禁止するオリンピック憲章を尊重すべく,LGBT 差別禁止法案が国会で討論されようとしています.また,幾人かの LGBT 人権活動家の努力によって,LGBT への関心は一般の人々のなかでも高まりつつあります.

しかし,日本のカトリック教会のなかではいまだに司祭や信徒の大多数は LGBT について無関心であるように見うけられます.

1979年にノーベル平和賞を受賞したコルカタの聖テレサは,1986年のノーベル平和賞受賞者 Elie Wiesel の言葉を好んで引用しました:「愛の反対は憎しみではなく,無関心です」.

LGBT カトリック信者の集い(LGBT カトリック ジャパン)が日本のカトリック教会のなかの LGBT に対する無関心を解消して行くことに少しでも貢献することができるよう,共にお祈りください.

ルカ小笠原晋也

2016年10月3日月曜日

教皇 Francesco : LGBTIQ+ の人々ひとりひとりに慈しみを以て寄り添おう

10月02日,二泊三日で Georgia と Azerbaijan を訪問し終えて,Baku から Roma へ帰る途中の機内で,教皇 Francesco は,同行ジャーナリストたちの質問に答えつつ,LGBT について語りました:
https://www.ncronline.org/news/vatican/francis-sexual-morality-determined-case-case-even-transgender

特に注目すべきことに,教皇は初めて,transgenderism をそのものとして話題にしました.

教皇は昨年,或るスペイン人の transgender 男性(女性の身体を以て生まれたが,性別適合手術を受け,戸籍上の性も男性に変更し,今は女性と結婚している)を彼の妻と共に会見のために Vatican に迎えました.その男性は,地元の司教から委任を受けて,教会の活動を積極的に担っています.小教区の司祭も,彼に寄り添っています.

性的少数者の問題は,律法の観点から十把一絡げに扱われるべきではありません.ひとりひとりについて,慈しみを以て,その人を在るがままに受け入れ,その人に寄り添い,その人が主へもっと近づくことができるよう手助けしなければならない.なぜなら,それこそ Jesus がすることだからだ,と教皇は強調します.

Jesus は,LGBT の人々に対して「あっちへ行け」とは決して言いません.Jesus は,誰にでも寄り添ってくださいます.

同じように教皇自身も,実際,司祭として,司教として,LGBT の人々に寄り添ってきました.そして,教皇となった今もそうしています.

それに対して,社会学的な gender theory については,教皇は,使徒的勧告 Amoris laetitia でも展開している批判を繰り返しました.

教皇が gender theory を批判する理由は,それが,神による創造である sexuality を社会学的な人為産物へ還元してしまう,ということに存します.

ですから,LGBT activists が教皇の gender theory 批判を非難するいわれは本当は無いはずです.というのも,もし仮に sexuality が単純に社会学的に規定されているだけなら,いわゆる認知療法のようなしろものによって同性愛も性同一性障害も「治療,矯正」することができるはずだ,ということになってしまいます.しかし,実際にはそんなことはありません.

では,なぜ教皇を非難する LGBT activists がいるのか?それは,彼ら・彼女らが,神による創造としての sexuality の真理を即座に単純に生物学的な性別の事実と同じものと見なしてしまうからです.

ところが,sexuality の真理は生物学的なものではありません.それは,存在論的なものです.

わたしたちは,sexuality について考えるとき,三つのものを区別しなければなりません:ひとつめは生物学的な性 (biological sexes), ふたつめは社会学的な gender (sociological genders), そして第三に存在論的な性別化 (ontological sexuation).

それらを混同するとき,見当違いの議論が生じることになります.

ルカ小笠原晋也

2016年10月1日土曜日

LGBT 特別ミサのお知らせ: 第四回,2016年10月23日

LGBTIQ+ の人々のために特別に立てていただく御ミサの第四回が,10月23日(日曜日)16時から都内で行われます.


今回司式してくださるのは,晴佐久昌英神父様です.今,日本で最もカリスマ的な(その語の本来の意味において,つまり,聖霊の恵みを受けた)神父様のおひとりです.晴佐久昌英神父様が LGBTIQ+ であるあなたのために神の愛の福音を宣言してくださいます.お楽しみに!

御ミサ終了後,参加者の皆さんが各人,晴佐久昌英神父様と歓談することができるよう,ソフトドリンクなどを用意する予定でいます.(もしほかの形の集いがよろしければ,御提案ください.)

参加可能なのは,御自身 LGBTIQ+ である方々のみです.普段,小教区教会の通常の御ミサに参加しづらいと感じている方も,気がねなく聖体拝領や祝福にお与りください.

カトリックの洗礼を受けている必要はありません.カトリック信徒の方は勿論のこと,カトリック以外に正教会,聖公会,プロテスタントの方でも,あるいは,キリスト教信仰に関心をお持ちの未受洗の方でも,御自身 LGBTIQ+ であり,かつ,神の愛の恵みに与りたいとお望みである方は,参加可能です.

ただし,世話役として,LGBT カトリック・ジャパン共同代表,ルカ小笠原晋也ペトロ宮野亨,ならびに両人の配偶者など,幾人かの ally がお手伝いのために参加いたします.

また,性的少数者である家族メンバーのことで御相談のある方の参加も,事情によってはお受けすることもあります.

参加なさりたい方は,事前に e-mail : 
lgbtcj@gmail.com へお申し込みください


お名前は,匿名でも結構です.使用なさる e-mail address も,必ずしも普段お使いのものではなく,Gmail などに ad hoc に作った account のものでも構いません.その方が匿名性が高まります.ただし,LGBT カトリック・ジャパン (lgbtcj@gmail.com) からの御案内を受信できるようにしてください.

e-mail をお使いでない方は,電話でお申し込みください.申込先は

090-1650-2207(ルカ小笠原晋也),または

080-1307-3910(ペトロ宮野亨).

その際,お名前をお尋ねしますが,本名でなくても結構です.会場でお申し込みくださった方かどうかを確認させていただくためだけのものです.

ミサ後の集いでも,匿名のままでも結構です.

参加をお申し込みくださった方々には,御ミサが行われる場所をお伝えします.都内の山手線内です.


御ミサ会場となるお御堂には 15:30 からお入りいただけます.
お申し込みをお待ちしております.

なお,御参考までに,この blog の過去の記事へのリンクを貼っておきます:


2015年08月18日,虹の慈しみのイェス様